6. SQLiteデータベースの使い方
公式の開発者向けサイトでは、Room というライブラリを使ってデータベースアクセスを行うことが推奨されています。
もちろんこれにしたがって Room を使っても良いのですが、今回はまずはシンプルに自分でSQLクエリーを発行してデータベース処理を実装していくことにしました。
SQLiteOpenHelperを使う
SQLiteデータベースの初期化と接続の管理を行うには、SQLiteOpenHelperを継承したクラスを作成するのが便利です。
--- DatabaseHelper.java
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テーブル名、カラム名などの固定文字列は、後述するWordsRepositoryクラス内に定数として定義してあるので、二重で定義しないようにそちらを参照しています。
今後データベースにテーブルを追加したりカラムを追加したりする場合は、データベースのバージョン番号を上げて、onUpgrade() メソッド内で必要なSQLを発行する処理を実行します。今は最初のバージョンなのでまだ何も実装していません。
アプリケーション全体を通してデータベース接続を保持する
では、上で作成したDatabaseHelperクラスをどのように使うかを見てみましょう。
DatabaseHelper dbHelper = new DatabaseHelper(this);SQLiteDatabase db = dbHelper.getWritableDatabase();try(final Cursor cursor = db.rawQuery("SELECT * FROM words", null)){while (cursor.moveToNext()){(...)}}
tryのカッコ内で Cursor をオープンすると、tryを抜けたときに自動でクローズしてくれるので便利ですね。
このようにデータベースアクセスが必要になる度に毎回 DatabaseHelperのインスタンスを生成してから getWritableDatabase()メソッドを呼んでも構わないのですが、この方法だとデータベースのオープン/クローズ処理が毎回行われることになります。
今回のサンプルアプリケーションでは毎回データベース接続をオープン/クローズするのではなく、「カスタムアプリケーションクラス」を使ってアプリケーション全体を通してデータベース接続を保持する方法を使うことにします。
🎬[Android]Applicationクラスとは
--- MyApplication.java
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Applicationクラスのインスタンスはアプリケーションのプロセスが動いているかぎり破棄されることはないので、このクラス内のインスタンス変数として変数を宣言しておけばアプリケーションのどこからでも共通に使うことができます。
今回はこれを利用してDatabaseHelperのインスタンスをApplicationクラスで保持することにしました。getDb()というメソッドが初めて呼ばれたときにデータベースをオープンします。
また、アプリケーションが終了するときに onTerminate() が呼ばれるので、このタイミングでデータベース接続をクローズしています。
カスタムアプリケーションクラスが起動時に正しく呼ばれるようにするには、マニフェストファイルでクラス名を指定しておく必要があります。
リポジトリクラスを使ってデータベース処理を一箇所にまとめる
次に、実際にデータベースに対してSQLクエリーを発行してデータを取得したり更新したりする処理を実装します。これらの処理はテーブル単位で実行されることが多いので、その単位で「リポジトリクラス」を作ってまとめるのが良いでしょう。
今回のサンプルアプリケーションでは、WordsRepository というクラスを作って単語データに関するデータベース処理を記述しました。
全件を取得する
public List<Word> getList() {ArrayList<Word> list = new ArrayList<>();// tryの括弧内でCursorを生成することで自動的にcloseされる。try(final Cursor cursor = mDb.rawQuery("SELECT * FROM " + TABLE_NAME + " ORDER BY " + COL_ID, null)){while (cursor.moveToNext()){final Word word = buildWordFromCursor(cursor);list.add(word);}}return list;}
1件だけを取得する
// idで指定された単語を返す。idが0の場合は新規インスタンスを生成して返す。idが見つからない場合はnullを返す。public Word getById(int id) {if (id == 0){return new Word(0, "", "");}Word word = null;String[] args = { Integer.toString(id) };// tryの括弧内でCursorを生成することで自動的にcloseされる。try (final Cursor cursor = mDb.rawQuery("SELECT * FROM " + TABLE_NAME + " WHERE " + COL_ID + " = ?", args)) {// 主キーで絞っているため結果は1行か0行かのどちらかなのでwhileでループする必要はない。if (cursor.moveToFirst()){word = buildWordFromCursor(cursor);}}return word;}
単語を追加または更新する
// idが0の場合は新規追加、0以外の場合は更新処理を行う。public void save(Word word) throws InvalidKeyException, SQLException {if (word._id == 0) {String sql = "INSERT INTO " + TABLE_NAME + " ("+ COL_ENGLISH + ", "+ COL_JAPANESE + ", "+ COL_DONE+ ") VALUES (?, ?, ?) ";String[] args = { word.english, word.japanese, boolToString(word.done) };mDb.execSQL(sql, args);return;}Word existing = getById(word._id);if (existing == null) {throw new InvalidKeyException("");}String sql = "UPDATE " + TABLE_NAME + " SET "+ COL_ENGLISH + " = ?, "+ COL_JAPANESE + " = ?, "+ COL_DONE + " =? "+ " WHERE (" + COL_ID + " = ?) ";String[] args = { word.english, word.japanese, boolToString(word.done), Integer.toString(word._id) };mDb.execSQL(sql, args);}
単語を削除する
// idで指定された単語を削除する。単語が見つからない場合は何もしない。public void delete(int id) throws SQLException {Word existing = getById(id);if (existing == null) return;String sql = "DELETE FROM " + TABLE_NAME + " WHERE (" + COL_ID + " = ?) ";String [] args = { Integer.toString(id)};mDb.execSQL(sql, args);}
今回はSQLiteデータベースの使い方について見てみました。
ひとまずこれで単語帳アプリのVersion 0.1が動くようになりました。
ここまでのソースコードは下のURLで公開していますので良ければプロジェクト全体をクローンして動かしてみてください。
Androidで単語帳を作ろう - 目次
Androidで単語帳を作ろう(3)- SQLiteデータベースの使い方
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