2013年4月25日

ロードバランサーを使って複数のWebサーバーでASP.NET MVCアプリケーションを動かした時のメモ

ハードウェアの構成


ロードバランサー1台
Webサーバー3台
DBサーバー1台


ソフトウェアの構成


Webサーバー
 Windows Server 2008 R2
 IIS7.5
 ASP.NET MVC 4

 IISではひとつのWebサイトの下に複数のASP.NET MVCアプリケーションを配置。

DBサーバー
 Windows Server 2008 R2
 Microsoft SQLServer 2008


パターン1 - それぞれのWebサーバー内でSessionを管理


ロードバランサーが「セッション維持機能」を持っている事が前提。

Session管理は State Service を使う。

State Service を使う為のweb.configの設定

<sessionstate mode="StateServer">      stateConnectionString="tcpip=127.0.0.1:42424"
      stateNetworkTimeout="10" />
各Webサーバーで「ASP.NET State Service」が自動起動する様に設定しておく事。




パターン1で発生した問題


ロードバランサーのセッション維持機能が上手く動いていない!
そのため時々Webサーバーが切り替わってログイン画面が表示されてしまう。

ロードバランサーのベンダーに調査してもらっても「設定に特に問題は見つかりません。アプリ側の問題では?」との事で、解決せず。

教訓:しょぼいロードバランサーは使わない!

今回のプロジェクトではロードバランサーは自分達の管理下にはないので、パターン1はあきらめる。



パターン2 - SQLServerでSessionを管理


ロードバランサーのセッション維持機能に頼らずにSession情報をDBに格納してWebサーバー間で共有する事にする。これならWebサーバーが任意のタイミングで切り替わっても大丈夫。

1. SQLサーバーにSession情報を保存するためのデータベースを作成する。

 aspnet_regsql.exe -S server -U username -P password -ssadd -sstype p

 ※tempdbに保存するのではなく永続化するために -sstype pオプションが必要。

このコマンド一発でデータベースの作成、テーブルの作成、期限切れのSession情報を削除するためのJobの登録まで行なってくれる。

 aspnet_regsql.exeのヘルプはこちら


2. MachineKeyの設定を共通化する。

全てのWebサーバーでMachineKeyを共通化しておかないと、認証クッキーやその他さまざまなデータの暗号化・復号化の処理がWebサーバーが切り替わった時に上手く行かなくなる。

IIS7.5の管理画面で該当のアプリケーションを選択すると、「MachineKey」という項目があるのでそれを開く。


画面右側の「Generate Keys」をクリックして「Apply」するとweb.configファイルのsystem.webセクションに下の様な設定が追加される。

<machineKey decryptionKey="xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx" validationKey="xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx" />
あとはこの部分をコピーして他の2台のWebサーバーのweb.configにペーストすればOK。

参考URL:How To: ASP.NET 2.0 で MachineKey を構成する方法




3. IIS Metabase上のSite IDを共通化する。

これをしておかないと、Webサーバーが切り替わった時にSQLServer側で別アプリケーションとして認識されてしまって、Session情報の共有が出来なくなってしまう。今回はこれでハマった。。。


対策としてはSQLServerのストアドプロシージャを修正するという方法もあるみたいだけど、IIS7.5以降なら下の方法で簡単にIDを共通化出来るみたい。

IIS上で何度かWebサイトを作成したり削除したりしているとIdの値が変わってしまうので、該当のWebサイトを選択した上で「Advanced Settings」を開いてIDの欄に他のサイトと重複しない値を入力する。


他の2台のWebサーバーでも該当のサイトが同じIDを持つ様に入力する。

この設定を行った後は、IISを再起動する必要があるので注意。




おまけ:Forms認証を使う場合の注意点



  • 一つのWebサイトの下に複数のアプリケーションを配置する場合は、アプリケーション毎に認証クッキーの名前を変える事。

  • 認証クッキーのパスは「/」から変更しない方が良い。
    (ブラウザはクッキーのパスについては大文字小文字を区別するが、サーバーはURLの大文字小文字を区別しない為。)










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