2014年10月17日

JavaScriptでスマホゲームアプリを作る - Cocos2d-JS編

前回のPlatino版に続いて、Cocos2d-JS版が出来た。



ソースコードはこちら。https://github.com/mikehibm/15puzzle-cocos2d


● 困ったところ


う〜ん、特になし。

あえて言えばy座標の指定方法(上下)がこれまでと逆になるのでそれを変更する必要があったぐらい。

あとそういえば、ifで座標が一致するかどうかを比較して分岐している箇所があって、

 if (piece.x !== new_pos.x || piece.y !== new_pos.y){
   ...処理...
 }

と書くと処理が実行されなくて困った。(浮動小数点数なので)
下の様に差分の絶対値で比較する様に変更した。

 if (Math.abs(piece.x - new_pos.x) > 1 || Math.abs(piece.y - new_pos.y) > 1){
   ...処理...
 }



● 良かったところ


アニメーションの作り方やシーン遷移の方法など、これまでに得たCocos2dの知識が活かせるので楽が出来た。

実機での実行速度も申し分無し。

デバッグが簡単。Cocos Code IDEからデバッグ実行しておくとJSファイルを修正して保存した瞬間にデバッグアプリ内でコードが再ロードされるのですぐに確認出来る。もちろんブレークポイントを設定する事も可能!


● アニメーション実行中にさらにアニメーションを実行する場合


MoveToを使ってピースを移動するアニメーションを実行中に、場合によってはさらに次のアニメーションを開始する必要がある場合がある。連続でタッチして同時に複数のピースを動かした場合などだ。

その場合、同じSpriteに対して同時に複数のMoveToアニメーションを実行してしまうと最終的な位置が思わぬ所にずれてしまう事になる。

これについては、2つめのMoveToアニメーションを実行する前に

 piece.stopActionByTag(ACTION_TAG);

を実行して前のMoveToを中止する事で解決出来た。


● Mac版デバッグアプリの設定変更


Cocos Code IDEから実行するとデフォルトだとMac版のデバッグ用アプリが立ち上がって来てその中でアプリが実行される。

このデバッグ用アプリの画面サイズ(Zoom設定)が、起動する度に100%になってしまいMBAだとiPhone5の縦画面がディスプレイに収まらないので、そこがちょっと使い辛かった。

これは下のページの通りに設定を変更する事で50%表示にする事が出来た。これでとても快適になった。
Lua - Cocos Code IDEのシミュレーターのデフォルト設定 - Qiita 



● ソースコード


今回のソースコードはこちら。
https://github.com/mikehibm/15puzzle-cocos2d




● 感想


さすがに注目度急上昇中のフレームワークだけあって Cocos2d-JS は使い易い。デバッグも素早く出来るので気分良く開発が出来る。

またXcodeやEclipseからもプロジェクトを開いて実行出来るので、広告表示やアプリ内課金などのネイティブ連携も頑張ればなんとかなりそうだ。

パーティクルエディタやシーンエディタなどのツール群も充実しているので、やっぱり一番安心して実戦で使えるのはこれかなあと思う。

あと次はUnityにチャレンジしてCocos2d-JSを上回るメリットがあるかどうかを試したい。








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2014年10月14日

JavaScriptでスマホゲームアプリを作る - Titanium + Platino編

ようやく15パズルのTitanium+Platino版が出来た。

Platino Game Engine


ソースコードはこちら。 https://github.com/mikehibm/15puzzle-platino


● Platinoプラグインの導入


プラグインの導入は至って簡単。トライアル版をダウンロードして解凍して所定のフォルダにコピーすればTitanium側で認識してくれた。

あとはプログラムの先頭に

var platino = require('co.lanica.platino');

をいれてガンガン使って行くだけだ。
BGMや効果音を鳴らす時は

var ALmixer = platino.require('co.lanica.almixer');

も必要。
さらにapp.jsなどで最初に一回だけ

ALmixer.Init(0,0,0);

を呼んで初期化しておく必要がある。最初この初期化をしてなかったせいで音が出なくて30分ほど悩んだ。


● まずはサンプルのソースを確認


Herlockと同じくPlatinoもドキュメントを見てもいまいち分からないので、最初はまずサンプルプログラムを全てダウンロードしてソースを熟読するのが良いと思う。


Flappy Birdや戦車ゲームのサンプルが面白いけれど、多分一番参考になったのは「Codestrong Shooter」というシューティングゲームのサンプルだ。


● マルチ解像度対応


サンプルプログラムのマルチ解像度対応がちょっと気に入らなかったので、自分なりに試行錯誤する必要があった。背景の画像などは全てiPhone5sの640x1136のサイズを基準にして作っておいて、端末の解像度に合わせて横幅を画面一杯にして縦が短い場合は上下が切れる様に調整した。ApplicationWindow.js の updateScreenSize 関数でその辺りをやっている。

スプライトなどを画面に配置する時は、横幅は常に640として固定値で指定して構わないのだけれど、縦の高さは端末によって変わるので、真ん中に寄せたいもの(パズルのピースなど)については中央からの相対指定として、上端または下端に合わせたいものはそれぞれ上端(y=0)または下端(y=画面サイズ)からの相対指定とする様にした。


● タッチイベント


画面に配置したSpriteのタッチイベントを取得するのが少々面倒だった。まず画面(Sceneオブジェクト)のタッチイベントを書いて、その中でスケールを考慮して座標を変換した上で Sceneの forwardTouchToSprites 関数を呼んでやる必要がある。


● 連続でアニメーションを実行


アニメーションは下の様な感じでTransformオブジェクトを生成して実行する形になる。
var transform  = platino.createTransform({
  duration: 500,
  alpha: 0,
  easing: platino.ANIMATION_CURVE_CUBIC_IN,
  autoreverse: true,
  repeat: -1
 });
sprite.transform(transform);
ただ、連続で複数のアニメーションを実行するための簡単な方法が標準では用意されていない。「Codestrong Shooter」のサンプルにもある通り、アニメーション終了時のcompleteイベントを拾って次のアニメーションを開始すれば良いのだけれど、非常に面倒だ。

そこで調べたところ下のモジュールを見つけた。


これを使えば例えば6個のアニメーションを連続で実行する場合でも下の通り簡潔に書くことが出来るのでとても便利だった。
highScoreTranstion = new Transition([
  { duration: 1000, x: CENTER_X-highScoreLabel.width/2, easing:   platino.ANIMATION_CURVE_QUAD_OUT }
  ,{ duration: 500, alpha: 0, easing: platino.ANIMATION_CURVE_CUBIC_OUT }
  ,{ duration: 1000, alpha: 1, easing: platino.ANIMATION_CURVE_CUBIC_OUT }
  ,{ delay: 500 }
  ,{ duration: 1000, x: game.screen.width*-2, easing: platino.ANIMATION_CURVE_QUAD_IN }
  ,{ duration: 1, x: game.screen.width*2 }
]);
highScoreTranstion.animate(highScoreLabel, -1);


● Androidでのフルスクリーン表示


Androidで実行すると画面の上部にタイトルバーが表示されてしまって困った。
とりあえず tiapp.xmlファイルに

<fullscreen>true</fullscreen>
<statusbar-hidden>true</statusbar-hidden>
<navbar-hidden>true</navbar-hidden>

と書いてみたけれども Android 4.4 では効果なし。調べると新しいAndroidではプログラム内で

   window.activity.actionBar.hide();

を呼ぶ必要があるという事だったのでその通りにしたら無事フルスクリーンで表示された。


● iOSとAndroidで微妙に挙動が違う所


TextSpriteを配置した時にiOSとAndroidで位置がずれてしまって困った。
どうもAndroidだとwidth,heightが自動では計算されていない(0,0になっている)みたいだ。これは platino.createTextSprite 関数を呼ぶ際に明示的に widthとheightをセットする事で解決した。

他に、Androidだと微妙に処理が遅いのか少しカクカクした感じがしてしまう。上にアップした動画でも雲の動きがちょっとカクカクしているのが分かるけれど、iOSだともっとスムーズに動いた。Titanium + Androidでは前にも、「今ひとつどうもな〜」という経験をした事があるので、今回もやっぱりそうかという感じはある。


● ソースコード


今回のソースコードはこちら。
https://github.com/mikehibm/15puzzle-platino


● 一応の結論


Titaniumでのアプリ開発をずっとやっている人で、「ゲーム開発にもTitaniumを使いたい!」と言う場合には良い選択肢かも知れない。

あとドキュメントの中の下のページはすごく参考になった。

http://docs.lanica.co/docs/#!/guide/javascript_best_practices
配列をクリアする時は
myArray = []; 
ではなく
myArray.length = 0;
と書いた方が良い、とか。







 

2014年9月5日

JavaScriptでスマホゲームアプリを作る - Herlock編

さて今回はHerlockを使って15パズルを作ってみた。



● Herlockとは


http://herlock.do/faqs/1304
株式会社ソニックムーブが提供するスマートフォンネイティブアプリ開発環境となります。
http://herlock.do/faqs/1338
AndroidとiOSに対応したワンソースでネイティブアプリを同時に開発することができます。
また、Web IDEを使用して開発、デバッグからビルドまで行うことができ、開発時のアプリはクラウド上で保存するだけで簡単に動作確認が可能です。
さらに、JavaScriptでOpenGLによる実装ができ、ゲームのようなハイパフォーマンスのアプリケーションを簡単に開発することが可能となります。




● 作ったもの


PhoneGap編Monaca編と基本的に同じ15パズル。

ただ今回は画像を使ったので見た目が大分違っている。
Herlockのサンプルにあった「ねこ穴」というアプリのソースコードを元にして作ったので、勢いで一部の画像をそのまま使わせて頂いてしまった。


ソースコードはこちら。(とても自慢出来たものではないですが。笑)

tmlib.jsには含まれているシーン管理やアセット管理の部分をHerlockでは自分で作り込まなければならないのが結構大変だった。(結局ねこ穴のソースから大部分をコピペして使った。) 逆に言うと自分で好きなように作りこんだりどこかのライブラリを使ったり、自由度が高いと言えるかも知れない。

アニメーションについてはTweenJSで簡単に出来たので助かった。



● Herlockの素晴らしいところ


WebViewではなくネイティブのOpenGL機能を使っているのでアニメーションのパフォーマンスは申し分ない。JavaScriptだけでこれだけの事が出来るというのは本当に素晴らしい。

サウンドの方もiOS, Androidともに全く問題無しだった。PhoneGapやMonacaではAndroidで音が出ない問題に悩まされただけに、これは嬉しい。

Web IDEが提供されているのでローカルに開発環境を用意する必要が無い。これもさくっとアプリを作りたい時には大変有難い。



● 苦労したところ


1.実行するまでエラーが分からない

これは特にHerlockだからという訳ではないけれども、JavaScriptでの開発は静的型付けのある言語と比べると意外と大変だなあと改めて感じてしまった。ちょっとしたスペルミスや引数の間違いなどでもその箇所が実行されるまでなかなか気付く事が出来ない。この事から感じるストレスは開発が進めば進むほど大きな負担になって来る。
今回Herlockで開発しながら特にこの点が気になったのは、おそらく次に挙げる要因が関係していると思う。

2. Herlock Viewerでアプリのリロードに時間がかかる

Web IDE上でプログラムの変更を保存してから、それを端末上のデバッグ用アプリ(Herlock Viewer)で再読み込みするのに結構時間がかかる。自分の環境(米国からのアクセス)だと最低でも15秒、サーバー側が重くなっている様に感じられる時だと30秒から40秒程度待たされる事もある。

原因は、最初に全ての画像や音声のデータを読み込む様なプログラムになっているからという事もあると思う。ただ、サーバー側が重くなっている時などはプログラムの実行を開始する前にJSファイル(require.jsなど)の読み込みの段階でタイムアウトしてしまう事もよくある。

この辺りは、Herlock Viewerの方でJSファイルや画像・音声などのデータをキャッシュしてくれて、任意のタイミングで開発者がキャッシュの更新を指示出来る様に(もしくは変更されたものだけ自動で読み込む様に)してもらえれば改善される様な気がしないでもない。

また、Android版はまだマシだったが、iOS版のHerlock Viewerではアプリのリロード処理中にタイムアウトしてしまう確率がかなり高かった。(特にサーバー側が重い時)

3. アプリ内でのシーン管理やアセット管理のための標準的な方法が分からない

APIドキュメントには基本的なコードしか載っていないので、最初は戸惑った。
結局サンプルアプリの「ねこ穴」のコードを見よう見まねでいじりながらなんとか形にはなったけれど、シーン管理やアセット管理のためのクラスは標準で存在した方が有難い。その上でtmlib.jsのチュートリアルの様な平易なドキュメントがあればなお嬉しい。




● これからHerlockに期待したいこと


1. TypeScript対応

Web IDEがJavaScriptだけでなくTypeScriptにも対応してくれれば、上に書いた「実行するまでエラーが分からない」という問題はほぼ解決すると思う。


2. Herlock Viewerでの再ロード時間の短縮

キャッシュ対応やサーバー側のスペック向上などでなんとか「数秒程度」でリロードが完了する様にしてもらえないものだろうか。
再実行に15秒以上かかる様だと「すぐに実行して動作確認出来る」というJavaScriptの利点がほぼ相殺されてしまうので、なんとも惜しい気がする。


3. ローカル開発用SDK

コマンドラインのみのSDKで良いので提供してもらえれば、Web IDEを使わずにローカルで好きなエディタを使って開発出来る様になる。もしこれが可能ならぜひ実現してもらいたい。
PhoneGapで言う「phonegap serve」コマンドの様なものを実行するとPCが接続待ち状態になり、そこにHerlock Viewerで同一LAN内から接続出来る様になれば多分リロードに時間がかかるという問題も解消されるだろう。

ローカルにソースコードがあればGitなどでの管理も自由に出来るし、理想的な開発環境になるのではないだろうか。

4. ドキュメントの充実

HerlockのAPIドキュメントは見た目はなかなか良いのだけれど、内容はまだまだ充実させる余地があると思う。



● 今日の結論


- JavaScriptだけでネイティブアプリの開発が出来るHerlockはアプリ開発者ならぜひ試して見る価値あり。

- ただデバッグ実行時のリロード時間の短縮はなんとしても実現して欲しい。

- なんだかんだ言っても結局のところ非常に面白いし将来有望な開発環境だと思うので、これからのより一層の改善に期待!



以上!







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